「注音で学んだ方が発音がきれいになる」って本当?(1)

これから台湾華語を学ぶ人が「ピンイン注音か」で迷っていたら、私は間違いなく「ピンイン」を勧めます。それは、多くの日本人にとって「ピンイン」の方が効率がよいから。

 

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ピンインで中国語の発音を学ぶのは、英語の読み方や日本語のローマ字読みをヒントにして、それを微調整しながら、ストライクゾーンを目指していく方法。当然、英語や日本語のローマ字綴りの影響を受けることもあります。でも、それは決してマイナス面だけではありません。ヒントがあるだけで覚えやすい音もたくさんあるのです。

最初から100点(ネイティブと全く同じ発音)を目指すのではなく、まずは70点か80点(外国人だとすぐわかるが、言いたいことはちゃんと伝わるレベル)を目指すのであれば、英語や日本語のローマ字綴りからイメージする音と、ピンインが示す音のずれを、知識としてきちんと学べばすむこと。

「u」を「ü」に読み替えなければならいことがあるという問題も、そもそも、限られた数の文字で自然界の音を記述するのですから、そこに何らかの無理が出て来るのは仕方がないと割り切り、その文字だけでは表せないことをルールで覚えていけばよいのです。

また、日本語で書かれた教材の絶対数の問題もあります。日本では、中国の普通話を学ぶ人の方が圧倒的に多いのですから、ピンインの読み書きができれば、参考になる教材も多いのです。ネット上でも、上質な無料教材がたくさん公開されています。

 

これに対して、注音で発音を学ぶのは、文字と音を直接結びつけていく方法。ローマ字というヒントがない分、好ましくない影響を受けるリスクも少ないのですが、何のヒントもなしに文字と音を結びつけて記憶するのは、とても難しい作業だと思います。新しい文字を覚える労力も軽視できません。

 

「注音で学んだ方が発音がきれいになる」という言葉は、本当は話が逆なのではないかと思います。文字と音を直接結びつけるという難しさを乗り越えて中国語の発音をマスターした人は、耳も記憶力も他人の発音を真似る力も、相当あるのかもしれません。だから「きれいな発音」になる。

また、台湾人のパートナーがいたり、台湾の人達に囲まれて暮らしている人が注音を選ぶケースが多いという事情も無視できません。たくさん聞いたり話したりする機会の多い人の発音がよくなるのは、当然のことでしょう。

そうではない場合、例えば日本で週1回のレッスンを受けながら中国語を学んでいる人が、注音で「きれいない発音」を身に着けるのはかなり難しいと思うのです。

 

誤解されると困るのですが、決して「注音」がダメだと言っているのではありません。私自身は注音の読み書きもできますし、スマホで繁体字を入力する時は注音を使っています。台湾で暮らす日本人には、よく「注音も勉強した方が楽しいよ!」と勧めたりもします(台湾の大学に合格したら/注音符号を覚える!)。それでも、中国語の発音を学ぶ際には、ピンインから始めた方が効率がよいと思う理由がたくさんあるのです。

本当は、ちゃんとした教材と指導があれば、ピンインで学んでも注音で学んでもいいのです。誠実に教えてくれる先生が「注音で学んだ方が発音がきれいになる」と言われるのであれば、信じてついていくべきでしょう。身近に発音のお手本を示してくれる台湾の人がいれば、注音で始めた方がいいのかもしれません。

誰にとっても絶対に正しい学び方はないはず。それなのに、時々、「注音で学んだ方が発音がきれいになる」という言葉だけが独り歩きして、学習者を混乱させている気がします。

 

もし「ピンイン注音か」で迷っていたら、私はピンインを勧めます。そして、ピンインである程度の発音の基礎を身に着けら、次はぜひ注音も覚えて欲しい。そうすれば、台湾の人たちとのコミュニケーションが何倍も楽しくなるはずです。

●「ピンイン+注音」を目指す方は、「ゼロから学ぶ注音符号」もご利用ください。

 

(2019.5.25)

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