2018.1.17

中国で暮らしていた頃、気づいたことがあります。それは、ネイティブ同士の挨拶は「你好!」ではないということ。

あ、もちろん、「你好!」も使います。でも、もっと大切なのは、その前に相手の名前などで呼びかけること、なのです。

私の場合、知り合いに会うと、まず「Mame!」と呼ばれます(本名じゃありませんが)。「你好!」がつくとしたら、その後のことが多い。名前だけで終わってしまうことも、よくあります。電話でも、第一声は、「Mame!」だったりします。こちらの名前を知らない相手からは、「小姐!」「阿姨!」と言われたりもします。

気をつけて見ていると、ドラマや映画でも、このパターンはたくさん出てきます。「总经理(総経理)!」のように職名を使うこともあります。

 

台湾でも、似たような感じ。人気イラストレーター畫龜畫さんの「小學課本的逆襲」には、この習慣がよくわかる例もあります。

【上】紅包很少時:お年玉が少ない時
<母>快叫人啊:早く呼びかけなさい→挨拶しなさい
<子>謝謝叔叔:おじさん、ありがとう

【下】紅包很厚時:お年玉袋が厚かった時
〈子〉謝謝乾爹!/ありがとう(義理の)お父さん
〈母〉不要亂叫!/勝手にそんな呼び方するんじゃないの!

 

お年玉をもらった子供に、母親がお礼を促している場面ですが、ここで「叫人(呼びかける)」が使われているのです。中国語の習慣がわからなかったら、ちょっと不思議なセリフですよね。

このイラストのオチも、相手をどう呼ぶか、がポイント。「叫人(呼びかける)」=「打招呼(挨拶する)」の関係を利用したギャグですね。日本語なら、〈母〉「ありがとう、は?」ー〈子〉「ありがとう!」で終わってしまって、話は広がりません。

 

実はこの習慣、子供の挨拶嫌いにも繋がっていそうです。
「叫人(呼びかける)」=「打招呼(挨拶する)」という中国語の習慣をネットで調べている時に、次のような子育てのお悩み相談サイトがたくさんヒットしました。

見長輩不打招呼 該逼孩子叫人嗎
(目上の人に会った時に挨拶しない子供には、”呼びかける”ように強く促すべきか)

孩子不肯叫人怎麼辦?
(挨拶したがらない子供、どうすればいい?)

たくさんヒットした記事を眺めているうちに、なぜ子供の挨拶の問題がこれほど議論されているのかが、気になってきました。こんな時は、台湾人同僚が強い味方。次のような、自身の体験を話してくれたのです。

春節などで、たくさんの親戚が集まる機会の多い台湾。でも、たまにしか会わない親戚だと、その人が自分とどういう関係なのか、すぐにはわかりません。

しかも、中国語の親族呼称は、とんでもなく複雑。しかも、お年寄りは、世代の上下関係に結構敏感。

呼び間違えると大変、という思いもあり、親に「呼びかけなさい=挨拶しなさい」と急かされると、プレッシャーだったというのです。

日本語なら、「こんにちは」の一言で色々使いまわしがききます。お年玉をもらった時も、相手が自分とどういう関係にあるか等気にせずに「ありがとう」と言えばすみます。どっちも万人向けで簡単。

ところが、中国語では、相手と自分の関係を把握し、それに合った呼び名を使わないといけないのだから、難易度は、相当高くなりますね。

子供の挨拶嫌いが増えても仕方ない、と思いませんか?そして、それでも呼びかける=挨拶するようしつける(無理強いする!)必要があるのか、親も悩むところでしょう。

jiaoren

(人見知りとか、恥ずかしがりとか・・・それだけの問題ではなさそう)

 

 

中国語では、同じ「謝謝」でも、次のように呼び名を加えることで親密度が増します。

「謝謝→謝謝你→ 謝謝叔叔」

万人向けの言葉ではなく、目の前にいるその人だけに向けた言葉の方が、より気持ちが伝わる、というのはわかるような気がしますね。でも、その分、相手との関係を把握するというひと手間がかかるのです。

もうすぐ春節。久しぶりに合う親戚の呼び名で困る人たちも、きっとたくさんいるのでしょうね。

(2017年2月のブログ記事に加筆修正しました/日本人スタッフ まめ)

 

 

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