2017.9.16

台湾では、ここ数年、多様な結婚の形態を認めるかどうかが議論になっています。そんな問題もちょっと意識しつつつけた今日のコラムのタイトルですが、実は中国語の「結婚」という言葉の使い方のお話です。でも、その文型を詳しく説明しようと思って例文を探していたら、結婚にまつわる色んな考え方や問題もあれこれみつかって、楽しくなってきました。

jiehun

例文を集めてみようと思ったきっかけは、台湾ドラマに出てきた次のセリフです。

這個,我不了。(この結婚、私、やめる)

結婚式の最中にドタバタがあり、新婦が「やめた」と宣言している場面ですが、私は、中国語の「結婚jiéhūn」という言葉の使い方がよくわかるおもしろい例文だなあ、と思って注目しました。普段はひとつの語のように見える「」という言葉が、バラバラになって、漢字の順序まで変えて使われているのですから。(詳細はこちらでどうぞ)

こういう風にくっついたり離れたりする言葉を、文法的には「離合詞」又は「離合動詞」と呼び、一般的には次のような例文で説明されます。

①我跟他。(私は彼と結婚する)
②我們了。(私たち、結婚しました)
③他過兩次。(彼は2回結婚したことがある)

 

①②のように「」の二文字が続いている例は難しくないと思うので、ここでは③のような離れている例をまとめてご紹介しますね。まずは、台湾で中国語の先生になるための資格試験に関するポータルサイトの例文をふたつ。

了,還計較什麼? 結婚までしといて、今さら何をぐずぐず言ってるの。

これもまるでドラマのセリフみたいですね。日本人の先生には、絶対作れない例文です。

⑤把,再出國吧! 結婚手続をすませてから、渡航しょう。

同じ動詞をふたつ重ねると「ちょっと~する」。だから、結婚を人生の一大事等とはとらえていない感じがします。大々的に結婚式をする感じではないし、海外渡航の前にすることなので、「籍だけ入れて」という意味で訳してみました。二重国籍や外国の永住権に対するニーズが、日本よりずっと高い台湾ですから、渡航前に結婚しておくかどうかは、かなり大きな問題です。

なお、この文の「再」は、動作の前後関係を明確にするためのもの。「もう一度」という意味はありませんので、ご注意ください。

 

⑤と似たような言い方は、芸能人の公開プロポーズのセリフでも出てきます。

⑥找時間把了(時間ができたら結婚しようね)
まるで、「その辺の喫茶店でお茶でもしよう」と誘ってる感じですね。照れ隠しなのか、芸能人ならではのパフォーマンスなのかはわかりませんが。

⑦你們兩個,趕快把!(さっさと結婚しちゃえよ)

あまり深刻に考えると結婚なんかできないから、もっと気軽に考えようという感じでしょうか。

 

「了」をつけるとしたら、普通の「動詞+目的語」と同じように「了」と最後につけるのが普通です。②の形ですね。もし「」とすると、それだけでは文が終わらず、「~したら・・・」と別の言葉が続くのが普通です。

她就會想生BB(結婚したら赤ちゃんを産みたくなるだろうし)
都有可能有外遇(結婚したら誰だって浮気するかもしれない)

・・・」の形で探すと、いい事を書いている例文はほとんど見つかりません。こんなんだと、結婚したくない人が増えちゃうのも当然でしょうか。結婚しない理由を言いたい時は次のような例が参考になります。

都給自己一個好理由!(結婚するにしろしないにしろ、自分自身が納得できる理由をみつける)
⑪不對不起父母,對不起自己!(結婚しないのは両親に申し訳ない、結婚するのは自分自身に申し訳ない。
⑫我不是不了(liǎo),只是不想(私結婚できないんじゃなくて、しないんです)

⑩は啓発本のタイトルです。反復疑問文を作る時は「結婚不結婚」とはならず、この例のように「」となります。離合動詞の特徴ですね。⑪は年頃になると両親や親戚から「早く結婚を」というプレッシャーが大きい台湾ならではの悩みです。⑫は日本のドラマのタイトルを中訳したもの。

 

最後は、社会問題。アメリカのブルーカラーの話です。

不起了(結婚する経済的余裕がない)

「動詞+不+起」は、「お金が足りなくて~することができない」ということを表す「不起」を使った表現。様々な背景をコンパクトに言い表せる中国語の可能補語の中でも、特に私のお気に入りの形です。

台湾の結婚事情は、こちらからもどうぞ。

本当は文法の話をと思って書き始めた今回のコラムですが、話題が話題だけにその内容の方が興味深くなってしまいました。「離合動詞」の詳細が気になる方は、以下のサイトからどうぞ。

東京外大言語モジュール(中国語文法・離合動詞)

 

 

 

 

 

 

 

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